清楽「碁」物語

王先生の考察(碁の計算方法について)

遅くなりました。清楽囲碁教室の続きです。

古典碁、切り賃など、碁の計算方法について考えてます。

終局後の計算方法が分化していく過程

王先生
「今まで説明してきた碁は、「古典碁」、「入門碁」と呼ばれます。五路盤くらいからはじまったであろうこの碁が、どうやって今の19路盤の方式まで進化していったのかを仮説を立てながら推測してみる。」

 

はるか昔、まず遊び好きな童子たちが5路盤くらいで試行錯誤して野外地面の上でこの遊び(碁)を作ったであろう。ゲームの形としてルールが整えば、狭い5路盤から9路盤の広さにはあっという間に辿り着く。

9路盤くらいになって大人も参加してみる。すると、童子にだけ独占させるのはもったいない楽しさだと分かる。

この頃、用具も整い室内ゲームとなってトランプや将棋、双六などと並んで盛んだっただろう。懸賞もかかったかもしれない。

碁盤は一度作れば長く使えるが、碁石は揃えるのが大変で、失くさないようにするのもそうだ。つまり、9路盤くらいからもっと大きな碁盤にするためには石数を揃える事と現実的な関連があっただろう。碁の技術が進化すれば、9路盤では物足りなく感じ、10路、11路盤と試していく。

碁の発祥が大陸あたりとすれば、統一国家以前にも碁は打たれ、盤の大きさも各地で異なっていたはずだ。人の交流が分化の交流であれば、知らない言葉を使う者どうし碁を打った可能性も大きい。

「手段」とはよく言ったものだ。その時のルールがこの「古典碁」でなければならない。この方法以外では短い時間でなかなか碁は覚えられないからである。

先に、碁盤の大きさは(広さ)は各地で異なっていたとしたが、国の形も整って物流も盛んになれば、碁石なども容易に揃う。そして、長い時を経て17路盤くらいに統一されていったのだろう。

すでに中国では孔子の時代になっていたのかも知れない。また、日本に朝鮮半島を経由して帰化人らが碁を持ち込んだのは紀元前後、大陸では漢のあたりか。

さて、今の19路盤になったのはいつのころだろう。17路盤が19路盤になった段階で、叙事詩とも言える壮大なある試みが知識階級らによってなされたと確実に推定されるのだ。

その試みを推定する前に、5路盤でこの古典碁をいま一度見ておこう。

katute654n

黒21が打たれ、白がパスし黒もパス。両者が終局に合意し、審判が盤上の石を数えます。白が10個、黒が11個で黒の1目勝ち。

現在の日本では、黒11の時点で対局者どうしが終局を合意し、手続きとして白12、黒13とダメを詰め白14で終局となる。記録も黒11で完で終わる。そこで地の計算をし、黒地6目、白地5目で黒の1目勝ちとなる。

「石数を数える」と、「地を数える」の2つの方法で勝敗が一致しているが、これは偶然の一致ではない。現在日本で打たれている碁は、この古典碁から変化してきたのである。では、どうして変わったのだろうか。

5路盤で、日本式と古典碁の終局の違いを確認したところで次にうつる。

図は、初級者同士が9路盤で打ったものである。

 

 

黒29、白30と地の中に打ち出し、黒63のあと白はパスを続け、黒は地の中に打ち続けます。黒91で終局です。

黒石46個、白石31個で黒の15目勝ちです。ちなみに日本式では黒29で終局となり、黒地33目、白地19目で黒の14目勝ちとなります。

さて、この「パス」の後に1個づつ置いていく作業が何とも単調で、9路盤くらいならなんとか我慢できるが、それ以上の広さになると、どうにか工夫しなければ「碁」そのものの魅力さえ失いかねない。先に述べた石数の問題も盤が大きくなればその分用意しなければならない。(9路盤で81個以上)

そこで、自分の地に打っていくべきところところ(地)を数えて、それから盤上の石と合計すればいいことが分かる。たぶん、石数が足りなくなったりしていちいち埋めるべき所を数えたのがきっかけで気づくだろう。その簡便さを知ってしまえば、たとえ石がいっぱいあっても、もとには戻らず数えて済ますに違いない。ただし、対局者どうしが合意するのが前提である。

だからその頃の数え方はこうだ。

《 石数+地+取った石=得点 》となる。

上の図にあてはめると、

黒=15(石数)+33(地)+0(取った石)=48

白=14(石数)+19(地)+0(取った石)=33

ここから、黒、白ともに「切り賃」各2点をマイナスする。

黒48-2=46点 白33-2=31点

黒の15目勝ちである。

ここでは取った石を自分の得点にプラスしたが、相手側をマイナスするのが日本のやり方(地を埋める)で、アジア大陸(主に中国)でも長い間この方法だった。(※注あり)

 

古典碁の事がなんとなく理解できたのではないでしょうか?古典碁=中国式ではないですが、中国式と日本式を比べても、日本式はとても理にかなった計算方法になっていることが分かります。

日本式は《地-取られた石》の引き算だけですからね。

お国の事情があるにせよ、日本式を採用して国際統一ルールを作った方がいいでないかい?と勝手な事を書いておきます。たぶん日本が囲碁全盛期の頃に作っちゃえばそーなっていたはず。しらんけど。

 

次回は「切り賃」についてです。

 

コメントを残す